遺産相続で大金が入り、どのように運用しようか悩んでいる人は多いと思います。現在銀行の金利は低く、口座に預けていてもお金は増えません。投資をすれば資産を増やすことが可能です。
しかし、投資は資産が減るリスクもあります。お金を増やすためには、メリットだけでなくリスクも理解する必要があります。
本記事では遺産相続などでまとまったお金が入ったときに、おすすめの運用方法を解説していきます。
目次
1.預貯金のリスク
初めにまとまったお金を銀行に預けておくリスクを解説します。日本では一時期金利が6.0%超の時代もありました。
しかし、現在の銀行の普通預金の金利は0.001%と低く、お金を預けていても増えません。それどころか円の価値が下がる可能性もあります。
(1)金利が低い
1つ目のリスクは金利が低いことです。現在の銀行の普通預金の金利は0.001%と低いです。
金利は複利とも呼ばれ、お金を増やすのに重要な役目を果たします。複利の説明をする際に、72の法則があります。
72の法則とは、複利運用をした際に元本が2倍になるために必要な計算式です。計算方法は72を年利で割ることで元本が2倍になるのにかかる期間が分かります。
普通預金の金利0.001%をこの計算式に当てはめると、7200年かかる計算になります。そのため、資産を増やすには貯金だけでなく投資もする必要があるのです。
(2)インフレリスク
2つ目はインフレのリスクです。インフレとは物の価値が上がることで相対的にお金の価値が下がることです。
最近日本では食料品や電気代などの料金が上昇しており、以前よりお金の価値が落ちています。物価の上昇は今後も継続していくとみられ、物に対するお金の価値はさらに下がっていくのです。
そのため、資産を減らさないためには投資で増やす必要があります。
2.投資する際の注意点
お金を増やすためには、投資をする必要があります。しかし、投資には資産が減るリスクもあります。
そのため、リスクを回避する方法も理解しておく必要があるのです。この章では投資をする前の注意点を説明していきます。
(1)リスク許容度を把握する
投資をする際はリスク許容度を把握して下さい。投資には基本的に元本の保証がありません。そのため自身のリスク許容度を把握しておく必要があります。
リスク許容度とは収益がマイナスになった場合、どれくらいまでなら損益を受け入れられるかというものです。投資をしていると短期間で資産が急激に減少することがあります。
そのような状態になると投資を辞めた方がいいのか悩む人も多いです。しかし、リスク許容度を把握することで冷静な判断ができるようになります。
リスク許容度を考える際に重要になるのが以下の項目です。
- 年齢
- 家族構成
- 保有資産
- 年収
- 投資経験
- 投資に対する考え方
年齢は若く家族構成は少ないほうがリスクをとることができます。資産や年収は多ければ投資できる元本が増えるので、リスクをとれるようになります。
投資を始める際は上記項目を参考にリスク許容度を決めて下さい。そうすることで、無謀な投資をする機会が減り資産を守ることができます。
(2)目標を立てる
投資をする際は目標を立てることをおすすめします。具体的には、お金をどのくらい増やしたいのかどのくらいの期間で達成したいかを決めて下さい。なぜなら投資目的によって選ぶべき投資方法が違うからです。
短期間で資産を増やす場合は、リスクを犯す必要があります。しかし、リスクを犯しすぎると大事な資産を失う可能性もでてきます。
投資目標があることで自分にあった投資方法が分かり、資産を失う可能性を減らすことができるのです。そのため、資産運用をする際は目標を立てることが重要です。
3.預貯金以外の資産運用方法
ここからは預貯金以外の資産運用の方法を紹介していきます。預貯金以外の資産運用には主に以下の5つの方法があります。
- 国債
- 投資信託
- 貯蓄型保険
- 不動産投資
- 株式投資
インフレに強いものや少額で始められるなど運用方法によって強みが違います。またどの運用方法にも、デメリットがあるので投資する際は理解しておきましょう。ひとつずつ順番に説明していきます。
(1)国債
国債とは国が発行している債券のことをいいます。日本では財務省が発行しています。
国債は紹介する投資方法の中では1番安定した運用法です。仕組みとしては債券を購入して一定期間が経つと、投資した分のお金と金利分が返金される仕組みになっています。
国債のメリットは、発行している国の信用が無くならない限り投資した分のお金が返ってくることです。そのため、資産が減るリスクが低いため安全に運用することができます。
デメリットとしては金利が安いことです。日本国債の場合金利は0.05%しかありません。銀行の金利よりは高いですが、長期間運用しても資産があまり増えません。
そのため、運用する際はリスクが高い資産などと合わせて運用することをおすすめします。
(2)投資信託
投資信託は投資家から集めた資金を1つにまとめて、投資のプロに運用してもらう投資法です。集めた資金で国内外の株式や債券などに投資します。
メリットは、少額からでも資産運用を始められることです。通常株を購入する場合は100株単位などまとまった単位を購入する必要があります。
そのため購入する際、数万円から数百万円のまとまったお金を用意する必要になるのです。しかし投資信託では、100円程度の少額で株式投資を始められます。
デメリットは、株式を購入する他にコストがかかることです。投資信託はプロが運用してくれるため、信託報酬などのコストを払わなくてはいけません。
信託報酬は投資先によって価格が違うので、投資する際は安いところを選びましょう。
(3)貯蓄型保険
貯蓄型保険とは保障と貯蓄が合わさった商品です。保険商品の中には、一定の期間を過ぎたら保険金を受け取ることができる商品などがあります。こうした、保険商品の貯蓄性を資産運用の手段としてとらえたのが貯蓄型保険です。
貯蓄型保険には多くの種類があり、代表的なもので以下の5つの商品があります。
- 終身保険(円・外貨)
- 養老保険(円・外貨)
- 介護保険(円・外貨)
- 学資保険
- 個人年金保険(円・外貨)
お金の受け取りかたは大きく3つの方法に分けられます。
- 被保険者の一生を保険期間として、保険期間中に解約をするとお金を受け取ることができる。例:終身保険、介護保険
- 保険期間が定まっていて、期間終了時に被保険者が生存しているとお金を受け取ることができる。例:養老保険
- 保険料を積み立て、一定の年齢になるとお金を受け取ることができる。例:学資保険、個人年金保険
貯蓄型保険は払い込んだ保険料よりも、支払われる解約返戻金や満期金の方が大きくなる傾向にあります。
メリットは、商品によっては高いリターンが期待できる可能性があるのと、死亡保障があることです。
デメリットは、途中解約すると支払った保険料総額よりも解約返戻金の方が少なくなる可能性があることです。
(4)不動産投資
不動産投資は不動産を購入し家賃収入などから利益を得る投資法です。資産掲載において最も高い効果をもちます。
元本を元手に不動産を購入し、得られる家賃収入をプールして新しい物件を購入して家賃収入を増やしていくのが基本的な成長モデルになります。
メリットは他の資産運用と比較してインフレの影響を受けづらいことです。インフレのときは「モノ」の価値が上がりお金の価値が下がります。しかし不動産も「モノ」なのでインフレの際は価値が上昇します。そのため、インフレに強い資産です。
デメリットは物件の管理や入居者の対応が必要になるので、資産運用の初心者にはハードルが高いです。また始めるのにまとまった資金が必要にもなります。
(5)株式投資
株式とは、企業が資金調達のために発行するものです。株主になると企業から利益がでた際に、配当金などを受けることができます。
メリットは、自分で運用するため投資信託のように信託報酬がかからないことです。投資信託はプロが運用するため信託報酬がかかります。しかし株式投資では、自分で運用するため信託報酬などの余計なお金がかからないのです。
デメリットは、金融関係の知識が必要で利益を出すのに時間がかかることです。株式投資で利益を出すためには社会情勢など幅広い知識が必要になります。そのため、初心者だと利益を出すのが難しいです。
4.おすすめの投資法3選
ここからは遺産相続で、まとまったお金が入った人におすすめの投資手法を紹介していきます。
(1)個人向け国債
個人向け国債とは、国が発行する個人を対象にした債券です。種類としては主に以下のものがあります。
- 変動10:金利が半年ごとに見直されるもので、満期が10年
- 固定5:金利が固定されているもので、満期が5年
- 固定3:金利が固定されているもので、満期が3年
個人向け国債のメリットは金利が最低でも0.05%保障されていることです。
変動10は金利が半年毎に見直されるので、金利が上昇したときは利子が多く受け取れるというメリットもあります。リスクが低いため安全に資産を運用したい人におすすめです。
(2)外貨建ての貯蓄型保険
外貨建て貯蓄型保険は、貯蓄性がある保険商品への支払いを外貨でおこない利益をだす投資法です。外貨で支払いを行うと利益がでる理由としては、外国の高い金利で資産を運用するため円での支払いより利益率が高くなります。
メリットは資産の分散ができることです。資産がすべて円だと、円の価値が下がった際に資産が減ってしまいます。しかし外貨を資産に組み込むことで、分散投資の役割を担ってくれるため安全に資産を運用することが可能です。
デメリットは為替リスクがあり、円高になると資産が減る可能性があることです。そのため、返戻金を受け取る際など注意が必要です。
(3)ヘッジファンド
ヘッジファンドはいかなる状況でも利益をだすことを目的としたファンドです。運用はプロが行いさまざな投資手法を用いて、市場が下がっても利益を追求します。
投資信託との違いは、限られた人しか投資ができないことです。ヘッジファンドは、適格投資家と認められた投資家など一定の資産をもつ人しか投資ができません。
適格投資家として認められるには最低でも10億円以上の資産が必要になります。投資する際はまとまった資金が必要ですが、通常の投資商品よりも高い利回りを期待できます。
最近では、ヘッジファンドに直接連絡し投資する個人投資家や、証券会社を通じてヘッジファンドを購入できるケースが増えています。
証券会社を通すと、通常1億円以上投資する必要があると言われるのヘッジファンドでも、1000万円単位での投資が可能です。
ヘッジファンドの強みは、下げ相場にも強いこと。上げ相場はベンチマークとなるインデックスよりも高い成果を上げ、下げ相場では影響を受けないか、市場よりも小さい影響に留めることができるものもあります。
もちろん、いいヘッジファンドばかりではありませんので、投資の際は吟味が必要です。
5.自分に合った投資法を行いましょう
最近日本では銀行の金利が下がっているため、お金を預けていても資産が増えません。
現在日本ではインフレも進んでおり、物に対するお金の価値は年々下がっています。そのため、投資を行い資産を増やすことは必要な行為と言えます。
投資は資産が減るリスクもあるため以下のことを行い運用する必要が必要です。
- リスク許容度を把握する
- 目標を立てる
これらのことを意識することで、資産が減るリスクを下げることができます。おすすめの運用方法は以下の3つです
- 個人向け国債
- 外貨建ての貯蓄型保険
- ヘッジファンド
個人向け国債は、金利が0.05%あるため銀行にお金を預けるより資産を増やすことができます。
外貨建ての貯蓄型保険は、外貨で資産を運用することで分散投資の効果があり安全に資産を運用することが可能です。
ヘッジファンドは市場が下がっている状況でも利益を出すことができます。
自分に合った運用方法を見つけて、大切な資産を減らさないようにしましょう。
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監修:IFA 高橋成壽